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本家「東方神起~Red Ocean of eternity~

第1章 6

このお話はフィクションです。
5人時代も好きですが、批判的に取られる可能性もあります。
それでも読んでいただける方のみ、下記へお進みください。







SIDE:CHANGMIN


ユノヒョンは強く握り返した僕の手を取って、自分の太股に乗せた。

「チャンミン、あいつらの代理人が、事務所相手に訴訟を起こしたんだって」

言ったユノヒョンの目は、真っ直ぐ前に向けられていて、でも何も見ていないように思えた。

「内容は、この間の通知書と同じ?」
「たぶんね」

そう。事の発端が化粧品事業なのは明らかだった。
あれをやり始めてから、3人のヒョンたちはおかしくなり始めたんだから。
でもそのことで揉めてたのはヒョンたちの身内と事務所で、僕たち5人には関係のない話だと思っていた。

でも。

「それは、契約内容を無効にして、化粧品事業を自由にやらせろってことですよね?」

僕がそう聞いたら。

「どうかな。もしかするともう、そんなことどうでもいいのかもしれないし」
「え?」

沈黙が流れて、僕はただユノヒョンの横顔を眺めていた。

だったらなんのために?

やりたいことができたって。
それを事務所に認めてほしいんだって言ってたのはあの人たちだ。

だから僕は、ギャラが安いなら事業くらい認めてくれってことだと思ってた。
そこに身内が口を挟んで、躍起になってるんだと。

違うのか?

「事務所から入った話がもうひとつあってさ。実は、俺たちがバッシングされてる本当の理由があるって」

本当の理由?

「どういう意味ですか?」

顔を覗き込む僕にも、ユノヒョンは目を合わせない。
ただ黙って繋いだ僕の手を引き寄せて額に当て、もう片方の手を添える。
そしてかがむようにテーブルに肘をつくその姿は、まるでお祈りのようだった。

独り言のように、ユノヒョンが言う。

「あいつらの身内が…極秘でファンカフェのマスターを集めて、そういうふうに仕向けたって」

辛いの?ユノヒョン。

僕にはその言葉の意味がよくわからないよ。

「…そういうふうにって?」
「5人一緒に事務所と戦うはずだったのに、俺とチャンミンは事務所にドラマの仕事をもらって寝返ったとか、この先分裂するとしたら俺とチャンミンが裏切ったせいだってことにするための嘘を吹き込んだって」

え?
あのバッシングは、東方神起が分裂することを心配したファンたちの暴走じゃなかったの?

「ちょっと待って。じゃあ今回の訴訟は…」
「今の契約内容のままじゃ事務所をやめるには莫大な金がいるから、事務所の不当を訴えて契約内容を無効にしたいんだろうって」

…頭を殴られたような衝撃だった。

「もしかして僕たちは、悪役を押し付けられたってこと?」

ヒョンたちが事務所をやめても、東方神起が分裂しても。

それが僕たちのせいになるように?

「証拠があるのかはまだ確かめてないから。ただ事務所からその可能性があるって連絡があっだけだ」
「でも、今の話なら全部つながるじゃないですか!」
「つながるからって確かめもしないで疑うなよ」
「ユノヒョンだって内心はそう思ってるんでしょ?だからそんな辛そうな顔してるんでしょ?」

話す間中、ユノヒョンはずっと祈るような姿をして。

懺悔みたいだよ。
誰よりも真っ直ぐ生きてきたあなたが。

なぜそんな姿でつらそうにしてるの?


…あぁそうか。
あなたは、仲間を疑っている自分が辛いんだ。

辛いのは、自分の置かれた状況なのに。

こんな時までリーダーで。
こんな時まで信じよとする。

ユノヒョンが、僕の手を強く握り締める。
何かを堪えるように。

だから僕は、黙ってその手を握り返して、ユノヒョンの声に耳を傾けた。



しばらくして、ユノヒョンがゆっくりと口を開いた。

「もし。もしもだよ?…もしこの話が本当だとして…」

それはたぶん、たった一度だけ漏らした本音。

「それがあいつらの意思だとしたら…その方が怖くねぇか?俺は怖いよ…バッシングなんかより…ずっと…」
「ユノヒョン…」

僕は堪えきれず、もう片方の腕でユノヒョンの頭を抱き寄せ、胸に抱いた。

そして、泣かないユノヒョンのかわりに、僕はたくさんたくさん泣いた。




その結果。

泣いたのはいいけど、なぜか僕がなぐさめられるハメになって。
なんか納得いかないけど、おかげで暗い雰囲気は少しおさまった。

「チャンミナ、ゲームやろうぜっ」
「寝ましょうよ…」

ユノヒョンはこういう時、決まってゲームをやりたがる。
ほら、もうゲーム機を僕の分まで手に持ってるし。

勝手に人のカバンを漁るな。

「ちょっとだけっ。なっ?」

人が寝ようとしてるベッドの横に立って。
大きな犬が尻尾振って餌待ってるみたいに。

なんだろう、この断れないカンジは。

「はいはい、ちょっとだけね」

結局僕はユノヒョンに甘い。
仕方なく僕は体をずらして、ユノヒョンが寝転がるスペースをあけてやった。



で。

案の定ユノヒョンはゲームを握って3分で寝た。

なんだろうこの敗北感は…。

まぁ、一緒に寝ようなんて、デカい図体でさらにデカい図体した男には言えないか。

だから僕は黙って、ユノヒョンの手からゲームを取って電源を切ると枕元に置いた。

うつ伏せて顔の横に握った手を置いてる寝姿が、まるで赤ちゃんみたいだった。

僕はニヤけてる自分を自覚しながら、ユノヒョンに布団をかけて、その背中を軽くポンポンと叩く。

いつもは男らしくて頼りになるリーダーだけど。
ステージの上では圧倒的なカリスマだけど。

僕といる時くらいは、幼くていい。
だってきっと、これがユノヒョンの本当の姿だと思うから。

これからきっと、この人の背中にいろんなものがのし掛かるはずだから。

だから、どうか。
この安らかな時間が、少しでもこの人に長く続きますように。


僕はそう願って、ユノヒョンの呼吸を感じながら、ゆっくり目を閉じた。



そして翌日僕は、約束通り笑ってステージをこなした。

けれどこの日を境に、僕は上手く笑えなくなってしまったんだ。



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