俺と僕の距離 4【完】

ここでのお話はアタシの作ったフィクションです。
実際のエピソードをヒントにしたものもありますが
あくまでアタシの中にいるユノとチャンミンのお話です。






SIDE:YUNHO



今日のチャンミンはテンションが高い。

適当に入ったパブの個室で、チャンミンはテーブルに上半身を寝そべらせて、最近あった話を聞かせてくれる。

「でさー、ホドンヒョンがユノヤに言いつけるぞー、ってゆーから、それだけはやめてくださいって土下座したんだー」
「なんだよそれ。俺のことなんか怖くねーくせに」
「怖くない、ことはない」
「嘘つけ。いつも好き放題ゆってんじゃねーか」

呆れたように俺が言ったら

「嫌なのかー」

って不貞腐れた。

「嫌じゃねーよっ。もーおまえ飲み過ぎ」

チャンミンは俺と飲む時、早い者勝ちだって言って必ず先に酔っ払う。
で、酔っ払うと昔のチャンミンに戻るんだ。

最近じゃ俺よりしっかりしてて立場が逆転してしまったから、叱られるのも構ってもらうのも俺だけど。
こうなったチャンミンは、すっかりマンネに戻って俺に甘えまくる。

それは2歳の年の差が、今より大きかった頃のように。

「僕はー、僕だけがユノに好き放題言うのがいーんだ。僕以外は駄目」
「なんだそりゃ」
「そんな奴はぁ、抹殺する」
「こえーよバカ」

駄目だ、目がすわってきてる。

「僕はぁ、本気だ!…ふふふ」
「おっかねーなっ。ほらっ、もー帰るぞっ」

もう少し可愛いチャンミンを見ていたいとこだけど、こいつ、明日は別の撮影が入ってるはずだ。

このへんにさせとかないとマズいはず。

「えー?もう?」
「おまえ、明日撮影だろ?送ってやるから。な?」

小さい子に言い聞かせるように言ったら

「じゃあ、僕んちきて」

そう言って唇を尖らせた。

「いや俺、明日朝から打ち合わせなんだよ」
「ユノはー、可愛い弟のお願いを聞いてくれないのかー」

駄目だ。
こーなったチャンミンは何を言っても聞きゃしない。

「わーかったわっ!行くから立て!歩け!」
「えー、どっちかにして。いっぺんにできない」
「まず立て!そして歩け!」
「おっけーぃ♪」

ご機嫌さんで立ち上がったチャンミンはヨロヨロしてて、危なっかしいから俺は肩を組んで抱えるように店を出た。



「もー駄目だぁ、無理っ」

玄関に入るなりチャンミンは、上がりもせずに寝転がり、大の字になってしまった。

「こらぁ、せめてベッドまで歩けってー」
「ユノー、脱がせて」

そう言って細長い右足をピコンと上げる。

「ったく!」

俺はチャンミンの足から靴をもぎ取って、玄関に放り投げた。

「靴は揃えろー」

酔ってるクセにこまけーなっ!

「はいはいはいはい!」

邪魔臭そうに靴を揃えながら、チャンミンがここまで酔うのは久しぶりだなと思う。

そして大抵、理由があるんだ。

「ほら、立てよ」

そう言って振り返ったら

「立たせて」

両腕を上げてプラプラさせた。

「アホか。おまえのがでけーのに無理だろ」
「でも僕のが軽い」

なんだと?!

「そこで寝ろ」

無視して中に入ろうとしたら

「いやだぁ」

踏み出した俺の足にしがみつきやがった。

コケるわ!

「あっぶねーなっ!ほらっ、手貸せっ」

結局俺はチャンミンの腕を掴むと、引っ張り上げて立たせた。



立たせたもののふざけて歩こうとしないから、仕方なく背負って無理やりベッドに運んだ。

放り投げてやろうと思ったら俺の首に回した手を離そうとしなくて、しょうがないから一緒に倒れこむ。

そしたらチャンミンはベッドの上でモソモソ動いて、俺の脇腹に抱きついておとなしくなった。

こら、足まで乗っけるな。
重てーな。

ってゆーか、なんで俺まで寝てんだ。
まぁいいや。起きてからシャワー借りればいいか。

いつも丸くなって寝る俺には、大の字は寝づらいはずなのに。

しばらくしたらなぜか意識がフワフワしてきて、乗っかった重みも心地よくなってきて。

あ、チャンミンがいるからか、と思った。

「ユノぉ、僕いなくて寂しい?」

俺の脇腹に顔を押し付けて、チャンミンが聞く。

「もー慣れたよ」

眠りに落ちかけた意識の中で、俺が答える。

「寂しかった?」

確かめるように。
顔を埋めてくぐもった声が、不安げに聞こえた。

「忘れた。もー寝ろ」

あやすように背中をトントンしてやると、チャンミンが俺の脇腹に顔を押し付けて顔をフルフルさせた。

脇腹でそれすんな。
くすぐってーわ。

「僕はぁ、結構寂しい。いつもじゃないけど」

そう言ってチャンミンの手が、俺のシャツをギュっと握り締めた。

なにゆってんだよ。
出てったのはおまえの方だろ?と思う。

でもわかってる。
それはチャンミンが、ちゃんと考えて出した答えなんだって。

東方神起を守るために。
そして俺と離れないために、離れた。

言葉にすると変だけど、そういうことなんだ。

チャンミンは頭がいい。
だからチャンミンが出した答えは間違っていない。

「結構ってなんだよ。俺がいなくてせいせいしてんじゃねーのか」

自分の出した答えが不安になったのか?
そう思ったから、わざとなんでもないみたいに皮肉っぽく答えた。

「そのはずだったのに、想定外だ」
「なんだそれ」
「こんなはずじゃなかったのにー!」

悔しそうに言って、チャンミンが手足をジタバタさせる。

「こらっ、デカい図体して暴れんなっ」
「僕の有り難みを思い知れっ」

そう言って振り下ろしたチャンミンの手が腹を殴ったから痛くて、俺はその手を掴んで高く上げた。

「もー散々思い知ったって!おまえが出てってから自分ちなのにちっとも落ち着きゃしねー!やっと最近慣れてきたんだよ!これで満足か?!」

そのまま顔を覗き込んでやろうとしたら、俺の手から腕を引き抜いてまた脇腹におさまった。

「うん。だったらいい」

いいのか。そうか。じゃあもう寝ろ。

俺は言葉の代わりに、チャンミンの肩を抱き寄せた。

あったけー。

「ユノぉ、僕より先に結婚しないで。僕がしてからにして」
「なんでだよ」
「寂しいから」

なんだそれ。
結局それを俺にわからせたかったのか?

僕も寂しいんだ、って。

「んな余裕ねーし」

今頃かよ。
俺なんか、おまえが出てったその日から寂しかったわ。

「そっか。だったら、もうしばらく僕で、我慢、して…」

最後の方は声が小さくなって、そのまま寝息に変わった。

こいつも辛かったんだな、と思う。
俺は結局、チャンミンに答えを出させたから。
そうやって、いつも損な役ばっかりやらせちまってるのはわかってるんだよ。

ごめんな、頼りない兄貴で。

おまえの出した答え、俺が間違いなんかにしないから。

これでよかったんだと、おまえが思えるように。
おまえの選んだ俺とおまえの距離で、今まで以上に上手くやっていこう。

「我慢なんかしてねーし」

寝息を立てるチャンミンに言う。
俺はおまえといることに、我慢なんか感じたことないんだよって。

いちいち言葉にしなくても、ちゃんと伝わってるよな?チャンミン。



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