Introduction 2

ここでのお話はアタシの作ったフィクションです。
実際のエピソードをヒントにしたものもありますが
あくまでアタシの中にいるユノとチャンミンのお話です。








SIDE:YUNHO


チャンミンの第一印象は「コネで入った運のいいやつ」だった。

挨拶も、声が小さくてやる気なんか全く感じなかったし。

どうせすぐにいなくなる。
そう思ったんだ。



オーディションに受かってデビューできると思ったら、俺と同じ立場のヤツが100人もいた。
結局その中から選ばれないとデビューできないらしくて、さすがに途方に暮れたっけ。

学校に通いながらアルバイトをしてレッスンに通って。
野宿までしてた事を思えば、宿舎に住むようになってからは楽だった。

グループを組んで仲間ができて。
一緒にデビューできると思ったら解散させられて。

デビューできない焦りより、仲間がいなくなる事の方が苦痛になっていた。

だからチャンミンを見た時、俺の中で警報がデッカい音で鳴ったんだ。

こいつはいなくなる。
だって自分の意思でここにいるんじゃないから。
自分の意思でここに来たヤツだって、挫折するほど厳しいのに。
こんなヤツに耐えられるはずがないって。

「なんとなくここにいるんなら、やめた方がいい」

そう言ったら、大きな目を見開いて俺を見てた。

いきなり酷いことを言われて戸惑ったんだろう。
不安そうに瞳が揺らぐのを見て、俺はさすがに後悔した。

女の子みたいに可愛い顔をして、苦労などしたことないんだろう控え目な雰囲気。

住む世界がまるで違うのに、気が合うはずなんてない。

そう思うのに俺は、その日からチャンミンが気になって仕方がなかった。



チャンミンは頭が良かった。
だからかなりレベルの高い進学校に通っていた。
レベルの低い学校に編入すれば、チャンミンならたいして勉強しなくても卒業できるのに、そこは譲る気がないらしい。

「お父さんと約束したから」

そう言って少しの休憩でも教科書出して読んでいる。
それは一緒にデビューすることが決まってからも変わらなかった。

俺はそう言うやつは嫌いじゃない。
ってゆーかむしろ好きだ。
いつの間にかチャンミンに対する印象は、努力家で意思の強い頑固者に変わっていた。



「チャンミンのお父さんは学校の先生だから、やっぱちゃんと勉強して欲しいんだろうな」

久しぶりにレッスンが早目に終って、みんな遊びに出掛けたから宿舎には俺とチャンミンだけだった。
2人、台所で向かい合ってラーメンをすする。

「それもあるけど、ちゃんとした学歴があれば、万が一芸能界でうまく行かなくても就職できるから。お父さんが安心するのもあるけど、僕も安心できるし」

チャンミンが、小さい子みたいなクリクリの目をして、上目遣いで俺を見た。

「ズルいと思いますか?」

時々こいつは、とんでもなく可愛い顔をする。

「いや、俺はこの道でやってくことしか考えてなかったから、チャンミンは大人だなぁと思って」

なんとなく気恥ずかしくて、俺は視線を逸らして答えた。

「ユノヒョンはそれでいいと思います。芸能人以外考えられない」
「なんだよそれ。褒めてんのか貶してんのかわかんねーぞ」
「褒めてるんじゃなくて、認めてるってゆーか。ユノヒョンだけは、絶対成功すると思えるから」

チャンミンは頭がいいから、言葉の選び方が上手い。
俺は言葉で伝えるのが下手だから、いつも感心する。

「やめろっ。おまえに言われるとくすぐったいっ」

だから、言葉が的確すぎて照れた。

「じゃあ言いません」
「おまえって絶対意地悪だよな」
「ユノヒョンが無邪気すぎるんです」
「うっわームカつくっ」

俺はいつの間にか、こうやってチャンミンとなんでもない時間を過ごすのが落ち着くと思うようになっていた。


本格的にデビューしてからは、連日のようにステージに立つ毎日。
さすがにみんな疲れてたけど、チャンミンはそんな中で試験勉強もしなくちゃいけなかった。

チャンミンが凄いのは、こんな生活してても成績がいいことだ。
だけどそれを維持するには、体を休める時間を削らなきゃならない。
案の定チャンミンは、ステージの上でフラフラになった。

倒れてくれればいいのに、チャンミンは歌うことも踊ることもやめなかった。
みっともないくらいフラフラなのに、それでもリハーサル通り動こうとする。

なんて頑固者なんだっ。

ファンのためにもチャンミンのためにも、俺はリーダーとして無理やりステージを下ろすべきだったのかもしれない。

でも、あと少しなんだ。あと少しでチャンミンはやり切ることがらできるんだ。

メンバーの意識もファンの視線も、みんなチャンミンに向けられている。

俺は負けず嫌いでプライドの高いあいつが、どんな思いでみっともない姿を晒してるのかと思ったら胸が痛かった。

悔しくて仕方がなかった。
チャンミンはビックリするくらいダンスが上手くなったし、歌だってめちゃくちゃ上手いのに。

あんなに一生懸命頑張ってたのにっ。

だから俺は、いつもより大袈裟に踊って、いつもよりデカい声で歌った。

頼むからみんな、今日は、今日だけはチャンミンを見ないでくれ。
チャンミンの分は俺が踊るから。
もう一度必ずここで歌うから。

だからみんな!こっちを見ろ!



長く感じたステージが終わり、俺はステージ袖のファンから見えないところでチャンミンを待った。

早く来い!

思うのにチャンミンは、フラフラでなかなかこっちへ来ない。
駆け出したくなるのをこらえ、チャンミンがファンから見えなくなって膝から崩れるのを腕を取り、無理矢理背負った。

辛かったよなチャンミン。
もうこんな生活、嫌になったんじゃないか?

聞くのが怖くて走り出す。
どうするのが正しかったのか、俺は間違ったんじゃないか。
不安で不安でたまらない。

だから俺は、天に祈った。

「チャンミン、チャンミン!今病院連れてってやるからな!」

神様、聞いてますか。

「マネヒョン!裏に車回して!」

この先どんな困難があろうと、俺は絶対諦めません。

「俺が行くから、みんなは先に帰ってろ!」

誰よりも努力します。約束します。
だからどうか。

「チャンミン!チャンミン!」

だからどうか俺から、チャンミンを奪わないでください。





俺にとってはメンバー全員大事だった。
でも必然的に、気分にムラのあるやつを構うことが多くなる。

でも、チャンミンはマンネだし、この世界に入るのも遅かったからホントは1番構ってやりたかった。

俺は、心のどこかで迷ってたんだと思う。
チャンミンは、普通の暮らしに戻りたいと思ってるんじゃないかって。
その方がチャンミンのためなんじゃないかって。

芸能人としても一般人としても全うしようとするチャンミンは、どう考えても無理をしていた。

芸能人になんかなる気はなかったのに。
普通の暮らしに戻れば、こんな辛い思いしなくて済むのに。

チャンミンが普通の暮らしに戻りたいと言ったら、俺は止めることができなかったかもしれない。

でもチャンミンは、誰よりも一生懸命レッスンに取り組んだ。

たから俺は毎日、チャンミンが早く追いつけますようにと神様に祈った。

でも迷いは消せなくて、結局チャンミンには「頑張れ」としか言えなかった。

チャンミンは言った。

そんな俺の言葉足らずな「頑張れ」で、頑張れたんだって。

もう嬉しくて嬉しくて。
抱きしめたかったのに、背負ってたからできなくて我慢した。

だから。

この先、たとえどんなに辛いことがあっても。
この世の全員が敵になろうとも。

俺が盾になって、チャンミンを守ろうと思った。




病院に向かう車の中。
俺の膝でチャンミンが眠っている。

「僕は東方神起でいてもいいですか?」
「僕を東方神起の一人だと、認めてくれますか?」

不安だったよな、チャンミン。
ごめんな。

もう迷わないから。
おまえは俺が守るから。

「僕はずっとユノヒョンといる」

おまえの誓い、絶対無駄にはしないから。

「ありがとな、チャンミン」

小声で言ったら。
甘えるように俺の腕にしがみついて。

幸せそうにチャンミンが笑ったから、俺もその笑顔で幸せになった。

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